ポーンがクイーンへ豹変するまで、あと一手かかる。

それまでに、僕のキングはどこまで攻められる?

頭の中で、なにがあと何手かかるかを懸命に計算しながら――

できることは、少ない。

キングを、c3からc4へ一歩前進。

その直後、彼女の桜貝みたいな爪に押し出され、f3からf2へ。

ただの兵隊だった駒が、二代目の女王陛下にのし上がった瞬間だ。

――しかし、彼女も代償を払っている。

キングの正面にはc5ビショップがいた。

キングをc4からc5へ。

彼女の黒魔術師が、散った。

いよいよ、キング同士がお互いを意識できる距離になってくる。

ここからが正念場だ!

彼女の第二女王が、即座に戦場へ突入してくる。

f2から一気にc2へ。

キングの背後を取られた!

駒自体の形が変わるわけじゃないから、その第二女王はポーンの姿をしている。

とんだ成り上がり女王だ。

戦場を駆け抜けたオーラを纏っている気がしてならない。

生まれた時からのクイーンと違い、その二代目は経験豊富なのだ。