「唇、切れてない?」 「…っ!?」 わたしは思わず蒼太の顔を見上げる。 唇の横に、バンソーコーを貼っている蒼太が見えた。 はっとして高瀬くんを見る。 いつもニコニコ笑顔の高瀬くんが、真剣な顔で蒼太を見ていた。 バレちゃった…かな…。 「…んじゃ、俺はもうそろそろ教室戻るよ」 高瀬くんがわたしに手を振った。 作り笑いしてるのが、伝わってくる。 「うん、バイバイ…」 そう言いながら手を振るしか、わたしの頭では思い浮かばなかった。