それでも君が好き


気まずいな。

…て言っても、向こうは気にしてないかもしれないけど。


「あの、未羽さん居ますかっ」


その時、教室の入り口の方でかすかに聞き覚えがある声がした。

振り向くと、高瀬くんが教室の中をキョロキョロ見回している。


「あ…高瀬くん。わたしに何か用かな」


わたしは早歩きで入り口まで行った。


「あ、未羽さん、コレ」


高瀬くんはニッコリ笑顔になると、ピンク色のマスコットがついたキーホルダーをわたしに見せた。


「あ…それ、わたしの」

「うん。さっき廊下で前歩いてたとき、落としたの見て、拾ってきた」


わたしはキーホルダーを受け取ると、さっきカバンにキーホルダーが無かったことを思い出した。