「…もう、昔のことだって。 あれから、何年経ったと思ってんの」 『母さんとしては、戻ってくれると安心だけどねぇ』 じゃあ、と言って、母は電話を切った。 卓也は、苦笑するしかなかった。 ──母さんにまで、俺の気持ちを見破られてたとはねぇ。 ベッドに仰向けになり、卓也は目を閉じた。 .