彼は、はっとしたように卓也を見つめた。 「センセーは、理想の自分になれてんの?」 卓也は苦笑した。 「…俺は、理想の自分像が、今でもどんななのか、わかんねぇんだよ。 …カッコ悪いか?」 そう質問すると、彼は首を振った。 「…いや? さっさと決めて突き進んでるのもカッコいいけど、センセーみたいに探しつづけんのもカッコいいな」 そう言って立ち上がった教え子に、卓也は苦笑しか返せなかった。 .