卓也の指がさすものを探るように、彼女は自身に目を向けた。 「…あぁ、これ?」 左手を卓也に向けて、困ったように彼女は笑った。 「なんでまだ填めてんの?」 卓也の問いに、彼女はただ曖昧に笑うだけだ。 そのとき、彼女を呼ぶ声が聞こえた。 卓也には聞き慣れない発音で、確かに誰かが彼女を呼んだ。 .