でもそのとき


私の夢が、手のひらに。



ゆっくりゆっくり落ちてきたそれは、小さな、小さな、あたたかいものでした。



「………なに…これ…」



それは小さなものでしたが、私の知らない世界へ続いていました。


それが落ちてきた場所は、そこだけ世界が違ったようにあたたかでした。




私はそれをそっとすくって、無限の闇にかざしてみました。



「………」



――――驚きました。


無限だと思っていた闇は、黒しかないと思ってきた色は

それによって他のものに姿を変えていきました。



何なのでしょう、このあたたかいものは。

何なのでしょう、この高鳴る私の胸は。




私は長いあいだ、それをじーっとみつめていました。


この小さなものは

黒以外ではじめて私の見えるものになりました。





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