ああ、ここはなぜこんなに退屈なのかしら。



見えるものは、無限につづく闇。

聞こえるものは、無限につづく水。

触れるものは、無限につづく…





何も見えないことを外の世界では黒と呼ぶのなら、私が見ているこの色も黒なのでしょうか?

知らないのです。なにもかも。

わからないのです。これ以外。


私をとりまくこの固い壁が壊せたなら、他を知ることができただろうに。



私はここで夢をみる。


限りのない世界の果てを。


そして目がさめてこう願うの。





「……―――神様。」



どうか起きていながら、ひとときの夢をみせてください。


触れたら崩れるこの夢は、目覚めればいつも無限の闇に負けてしまうから。



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