「さ、行こっか」


部屋を出ようとする私の後ろで突っ立ったままの松井


「…………」



口をぐっと結んだまま何か言いたげに私を見ている



「どうしたの?」


本当は聞きたくない



「……私は、あなたに隠すべきじゃなかった」



反省されたって

何もなかった事にならない


「もう、いいよ」


少し投げやりに返した




「何も考えずあなたに忠実にお仕えしていれば……、今だってあなたを慰める事が出来たのに……」


でも松井は話を止めない



「自分の独断であなたを裏切るような行為をしたばかりに、今、あなたが辛い時に何もできません……」



この世の終わりのような松井の苦しげな表情にちょっと引いた


(大げさだな……)