☆☆☆
「沢野井……、あと少しで食事の時間が終了してしまうのだが……」
ドアの向こうから遠慮がちな松井の声が低く響いた
「……食欲ない」
あるわけがない
電気もつけずベッドに突っ伏してる私
「……しかし、少しは口に入れないと……」
「食欲ない!」
松井なんて嫌いだ
私に嘘ついて
隠し事して
邪魔して
「……そうか」
今だって私が落ち込んで泣いてる事くらい分かるでしょう?
それなのに
声もかけずに
ずっとドアの外うろうろして
自分も何も食べてないクセに……
……ばか松井
もうっ
私は勢いでベッドから立ってドアを開けた