「あっちゃん……」



こんなふうに


この学校で話しかける日が来るとは思いもしなかった



しかも


(こんな最悪の理由で)




あっちゃんはそっと視線を上げて特に驚いた様子もなく私を確認する



「話が……あるんだけど」


震える声で伝えると



少し面倒そうにため息を吐き出し読んでいた本をパタンと閉じた



そして私には目もくれず教室の後ろのドアから廊下に出ていく





(こんなの私の知ってるあっちゃんじゃない……)



重い足を無理やり動かしてあっちゃんの後を追った





あっちゃんはすぐ出た廊下で腕組みして壁に寄りかかっていた



「昼休憩もう終わるから手短に話して?」


あっちゃんの何の感情もこもってないような声が


静かな廊下にやけに大きく響く気がする