「嘘など……」
松井の表情が少し崩れた
(まだ誤魔化すんだ……)
私のイライラはピークだ
「見たんだよっ!」
自分でもびっくりする位の大声が屋上に響いた
「3限目の科学の実験の後片付けの時……松井こっそり抜け出してたでしょ?」
私の言葉に松井の目は大きく開いた
科学室の窓から見えた
中庭つっきって2年の校舎に向かう松井の姿
「松井が盗ったんでしょ?
……先輩のハンディカム」
(言ってやった……)
でもスッキリなんてしない
松井は私の味方じゃないかもしれない
その事実を突きつけただげ……
自分に
「証拠隠滅の為?」
冷静を装い静かに問いただす
「……私は……」
松井はまだいいあぐねているようだ



