「……な、何ですか?」



いろいろ考えている私にさっきから向けられている視線


セツ先輩だ


窓の外から見えないように私以外の2人は床に直に座り身を潜めている


セツ先輩は体育座りで膝に腕と顔を乗せ私を上目遣いで見上げていた


「んー……?」

少しだけ口元に笑みを含んでいる



可愛いけれど何か企んでいるような小動物の瞳



「…昨日、アリスと何してたの……?」


キラッと光る



「な、なな、何って……」

なんで私
こんなにどもってるの!?

……デジャヴ


まるで松井に聞かれた時と同じ状況だ

カーッと体が熱くなる



「バ……ババ抜きです」


そう!
私は責められるような事は何もしてないんだから!

堂々としておけばいいんだ



あのキスは事故なんだ

誰が何て言ったってそうなんだ!





「……ふーん」


私の葛藤を余所にセツ先輩は短くそう言うとそれっきり黙ってしまった