「…そ、…そうじゃなくて……」
自分がなんでアリスザカの部屋のドアを叩いたのかも分からないから、歯切れの悪い返事しか出てこない
「お前……自分から部屋出たくせに、戻ってくんだもん……こんな夜中に」
アリスザカの片手は私の腕をドアに押さえつけて
もう片方は私の腰に回されている
昼間と全然雰囲気が違う……
「逃がさねぇよ」
薄暗い部屋の中アリスザカの目がはっきりと光った
野獣MAX!!
「違っわ、私……間違えて!」
「誰と?」
アリスザカの声が鋭くなる
「……こんな夜中に誰の部屋行こうとしてたんだよ?」
違うんだけど……違うんだけど、
危ない時の松井頼み
「……松井」
でも今回ばかりは、この名前は救いにはならなかった



