タカラの手がピタッと止まって


整った顔が私の方を向いた




その顔は


真っ赤で



「わりぃかよ……?」







タカラって照れ屋だったんだね



それで彼女の事


きっとすごく好きなんだ……





「悪いとか言ってないじゃん お幸せに~」


へらへら笑いながら席を立った





「ユヅキお前どこ行くの?もうホームルーム始まンだろ?」


背中を追うタカラの声に




「トイレ~」


振り返らず教室を出た



人のまばらな廊下を素早く通り抜けて


階段をダンダンと踏みしめて屋上に上る