さくらは意外に感じていた。

圭吾に苦手なものがあった事。

端から見れば圭吾は完璧で、
店をちゃんとやれている
気がしたから。

だからカッコよく思えて、
尊敬していた部分もあった。

「もちろん、さくらが
店を継ぐ時には
しっかり教える
つもりだけどね。」

「うひゃあ、頑張りますっ。」

「ははは、
気楽に考えてていいよ。
少しずつ教えるからさ。」

「なぁんだ。びっくりした。」


その時、圭吾が
少しだけ咳をした。

「パパ、大丈夫?」

「ごめんごめん。
この頃、風邪を
引いたみたいでね。
感染(うつ)しちゃうから、
もう行きなさい。」

「はぁい。」

さくらがそう言って、
圭吾の部屋を出ようとした時、
千依が入って来た。