数日後、さくらは学校で、
ある男の子に出会う。

その男の子は、学校の図書館で、
図書委員の仕事をしていて、
笑顔が可愛かった。

父親以外の男の人に
ときめくなんて、
きっと初めてだ。

「こんにちは。」

その男の子は
にっこり笑ってくれた。

「こ…こんにちは。」

ドキドキする。

普段男の子と接する機会が
殆ど無いせいか、
どうしていいか解らない。


「借りるの?」

さくらは手に
一冊の本を持っていた。

「あ、うん…。」

「貸して。」

そう言うと男の子は、
手際よく手続きを済ませて
本を返してくれた。

「あ…ありがと。」

「どういたしまして。
高野さくらさん。」

「あ、名前…。」

「手続きをしてると、
自然と覚えるよ。」

「そうなんだ…。」