「あぁ、ごめんなさい。
えっと、そうそう、
圭ちゃんがね、
昔から好きだった花があるの。
このエピソードは
再会してから
知ったんだけど。」
「好きな花?」
「そう。桜の花。
病院の外に桜の木がいくつもあってね、
圭ちゃんは窓から
桜が散るのを見ながら、
いつも切なそうな顔するの。」
さくらはそこでハッとした。
(昔のあたしだ。
桜が散るのが嫌いで、
自分の名前まで
嫌いになろうとした
あたしと同じ。)