その時、
集中治療室のドアが開き、
家族が呼ばれた。

さくらは伯父に起こされると、
千依よりも先に
圭吾へと駆け寄り、声を掛けた。

聞こえているはずは無いのに、
何故か伝えたら
伝わりそうな気がした。

「パパ…あたし、決めたよ。
頑張って勉強して、
パパの跡継ぐから。
だから、目を覚まして。
色々教えて
もらわなきゃいけない事
たくさんあるんだから、
早く起きて…。」

さくらは圭吾の
大きな手を握った。

熱がある為か、とても手が熱い。

さくらが握っても
握り返してくる事が
無いのが辛かった。

さくらは泣きたい気持ちを
必死で堪え、
圭吾の手を握り続けた。