【袖すり合うも他生の縁】


祭り囃子に引っ張られて気付けば夜店のど真ん中


浴衣まで着せられてまさかの迷子


お面かぶって浮かれた女


転びそうな子供



その綿菓子くれ、と言いそうな頭の参った自分


「―ちゃん!!」


自分の名前にちゃん付けで振り返えれば知らない顔


別にタイプじゃない女が横を通りすぎてゆく


赤い金魚の帯がゆれて白い袖から白い腕


花のような可愛い匂いが通りすぎて


あ、もうどんな匂いだったかわからない


カランカランと皆を探す