煩いと思いながらも再びソファに転がった瞬間、ガチャリ、と鍵が開けられる音がした。


 ――嘘だ。


 忙しなく扉は開かれ、バタン、と閉じる音がする前にバタバタと物音がする。


 ――どうして、来ちゃうの?


 あたしの部屋の合い鍵を持っているのはあの人しか居なくて。

 慌てて起きあがって廊下の方を見ると、あの人が息絶え絶えに立っていた。


「……お、またせ……っ、華南子!!」


 頬を紅く染めて。

 冬だというのに額にうっすらと汗を浮かべて。

 あたしの待ち人が、今、あたしの目の前に居る。