バイトが終わって裏口から出た途端、『華南子』とあたしを呼び止める声。 『先生!? どうしたんですか?』 愛車らしき大きなバイクを押して、先生はあたしの傍までやって来た。 『んー、ちょっとな……』 先生らしくない、歯切れの悪い返事。 その日は食事に来たのではないみたいだった。 『バイト、終わった?』 『はい』 『この後、何か予定ある?』 『いえ、無いですけど……』