じわじわと口の中に血の味が広がった。 唇を噛みしめてたから切れたんだ。 「湊……おいで?」 涼が優しくほほ笑んだ。 ……それはつまり、抱きついていいってこと? 『……』 だけど考えるより体が先に涼の胸の中に行った。 私は涼の胸を借りて無我夢中で泣いた。 『うわーん…。うっ……ひっく……うわーん』 涼の胸は温かい。 涼の胸は広い。 私は小さい子のように泣き続けた。