何事も無かった様に学校へ行く。



「おはよ。聖香」

「おは~~。テンション低!!何かあった?」

「ううん。別に無い」


心配して聞いてくる聖香に少し涙が出そうになった。

泣いたら負けだ。

もう・・・。

泣かない。

そして私は男だ。

学校以外では男。

喧嘩だってもっと強くなってやる。

誰も私に触れられない様に。







帰り際校門の前でムサシに会った。


「吹雪ちゃん!!」


シカトした。

ただ、今は話したくないだけだったけど。


「吹雪ちゃん!!」

ガシッ

ムサシに腕を掴まれて身震いがした。

「テメー。汚ねー手でさわんじゃねーよ!!」

私は怒鳴りながらムサシの手を振り払った。

「え?吹雪ちゃん」

あ・・・。


「ごめん。先輩。さようなら・・・」

片言な敬語を使って走って帰った。




相手はムサシ。

あのおっちゃんじゃない。

だけど男に触れられるのだけはもうカンベン。