「いいですけど・・・。」 「そうか、それじゃ、俺の後ろに乗れよ。」 ジンは、バイクからもうひとつ、ヘルメットを取り出し、コウの頭にかぶせる。 ヘルメットをかぶって、ジンの後ろに乗るコウ。 これが、コウが、初めてバイクに乗った瞬間だった。 「しっかり捕まっておけよ。」 そういって、バイクを走り出すジン。 渋滞の車の間をぬって、コンクリートの上を疾走するバイク。 コウは、風になるという初めての感覚に興奮を覚えていた。