教室では冬休みの心得のプリントや課題が配られ、浮き足立つクラスメイトもガックリと肩を落としていた。
「早坂ー、前の学校より授業内容進んでいるけど大丈夫か?」
「はい、何とかします」
担任に聞かれ、そういう他なかった。
レベルの高い進学校に転校してきたから、冬休みは勉強尽くしでも仕方ない。
なんて言い聞かせていると、
「あー、そうだな。白崎ー」
「何ですか?」
「お前冬休み中の課外の後、生徒会で学校に残るだろ? 早坂に勉強教えてやってくれないか」
突然担任がとんでもない提案をして……。
せ、先生っ!!
何を言いだすんですか?
勘弁してください、それだけは。
それにほらっ、白崎くんも。
「俺は構いませんよ」
ね?
嫌だって。
……って、えぇーっ!!
断ってよ、白崎くん!!
「先生、あたしも勉強教えてもらっていいですか?」
「あ、ずるい。私も!!」
「はいはーい! 私も教えてもらう」
ほらっ、この人気。
ちょっと。
睨んでいる人までいるし。
いやいや、私は別に頼んでいないから勘弁してよ。
もはや収集のつかなくなった教室内。
「この教室の使用許可をしていただけるのであれば、みんなで勉強も可能ですけど」
「あー、それは構わん。じゃあ白崎頼むな」
だーかーらー、勝手に話進めないでってば!!
黄色い声まで聞こえてきて、今さら言いづらくなってきたけど、
「先生」
私は立ち上がった。

