“ターゲット捕獲”
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クリスマス間近、イルミネーションが光り輝く街は、賑わいを増している。
降りはじめの雪がハラハラと舞い降りてきては、頬をかすめて消えていく。
雪が溶けるのは、火照る顔の熱のせい?
路地裏の一角。
少し歩けば人通りも多い大通り。
そんな場所で何が一体どーなって、こんな状況に陥っているのかまったく分からない。
分からないから、
「ちょ……んっ、まっ……」
ムリヤリ奪われた、と。
力強い腕に抱き締められて、片手で頭を抑えられ、目の前には端正な顔立ちの男。
重なり合う唇。
彼の舌が強引に私の口内を侵していく。
何でこんな状況になったのかまったく理解できないのに、冷静に状況分析している辺り、私おかしいのかも?
好きでもないのに。
なのに、なのに、
「……んぅ……っん……」
体の奥が疼き、漏れる吐息。
ありえないスピードで心臓がなって、体の熱が上がっていく。
そして頭の芯がボーッとしてきた頃には、開けていた目も自然と閉じていて、体の力はスッカリ抜けていた。
吐息がかかり、真っ白になる視界。
抱き締めている手が撫でるように動く。
そして――。
「ククッ、キスだけで感じちゃった?」
「……ふへっ? あっ……、なななっ何言ってるのよ!!」
「だって、俺に体預けちゃってるし?」
彼は意地悪気に口の端を上げて、ニヤリと笑みを浮かべた。
うぅぅぅっ。
図星なだけに返す言葉が……。
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