この想いを君に… −あの場所へ−

「…パパが望むなら」

最初に口を開いたのは知樹だった。

「苦しくても我慢出来るなら、俺は止めない」

「知樹!」

ママが少し怒った様子で知樹を睨みつける。

「…ママ」

最近、その容姿も話し方もパパに似てきた知樹がママを見つめる。

「パパがそうしたいって言うんだから。
病気で辛いのは、一番辛いのはパパだよ」

知樹の言葉にパパは少しだけ微笑んだ気がした。