この想いを君に… −あの場所へ−

「真由、俺はそこまで甘くないから」

パパは立ち上がる瞬間にママの髪の毛をくしゃくしゃにした。

「そーちゃん!!」

ママは髪の毛の乱れも手伝ってまるで鬼!!

立ち上がってパパを追い掛ける。

「アハハハ〜!!」

それを指差して笑っているのは知樹と桜だった。



そう、あたしの家族はこんな感じだった。

いつも。

誰かがどこかで笑う事をして。



いつまでも続けばいいのに。



見えない先。



一瞬、暗闇に自分が落とされそうになるけど、

「睦海、そろそろ行こうか」

パパが座り込んで休憩しているあたしに手を差し延べてくれて我に返った。

その手をしっかりと掴む。