相変わらず、ここは見晴らしが良かった。

何かあれば。

パパはあたしをバイクの後ろに乗せてここに来てた。

多分、パパの一番好きな場所。



山の頂上にある展望台。

祥太郎もよくパパに連れて来てもらったって言ってた。



「パパ…」

真夏の太陽がキラキラと光るこの町を見つめてあたしは呟く。



あたしを通じてこの町が見えていますか?

パパが生きていたこの町。



キラキラ光っているのは見えるのに。

光しか見えない。

町がぼんやりと滲んで。



あたしは泣いていた。