この想いを君に… −あの場所へ−

むっちゃんが慌てて家に入る。



「…むつみ?」

足音でそーちゃんが閉じていた目を少し開けた。

ゆっくりと目を動かす。

呼吸も酷く大きな呼吸をするようになり、確か拓海くんもこんな感じだったと思った。

そんな事を見てきたそーちゃんだからこそ…



「むつみ、ごめん。
…もうすぐたんじょうびなのに」

そーちゃんは大きな呼吸を何度も、何度もして。

「いわってあげられない」

「パパ…?」

むっちゃんはそーちゃんの手を握った。

少しだけ、そーちゃんは微笑んだかと思うと。

数回、ゆっくり、大きな呼吸をして。



また意識がなくなった。