智道と共にピット前に戻ってきた睦海はグランドスタンドのお客さんからたくさんの拍手を貰っていた。

大破したマシンと共に降りてグランドスタンドに向かって一礼すると更に歓声と拍手が大きくなった。



そしてピット内に入ってくるとみるみる表情が変わっていき、俺の前にやって来た。

誰も睦海に声は掛けられない。



「…ごめんなさい!!」

そう言った瞬間、俺の膝に泣き崩れた睦海。



手が動けば抱きしめてあげられたのに。

動かせない自分が、悔しい。