この想いを君に… −あの場所へ−

「睦海ー!!」

ピットで祥太郎は仁王立ちしていた。

あたしは頭をかきながらゴメン、と謝る。



ウォームアップで…

転倒してしまった!!

あああ…

予備なんてないのに。



「まあまあ」

至さんが祥太郎の肩を叩くと

「幸い、カウルだけだから、まあ昼からはもう一度走れるし」

ただ、カウルは本当に何もない真っ白なカウルだけど、と付け加えられた。



「次はないで、むっちゃん」

光さんにも窘められた。

「うん、ごめん」

本当に些細な事で転倒してしまった。

気が抜けているとしか言いようがない。