この想いを君に… −あの場所へ−

「…隆道」

一瞬、パパが鋭い目をしたかと思うと

「うちの桜。
…桜に大人げない事をするなよ?
桜だけじゃない、智道にも」



…全くレースとは関係ない事を言うから気が抜けた。

ア然としていると

「子供同士、お互いが好きなら親が口出しするな。
俺に対する事なら俺に言え!!」



パパは目の前にいる智道に視線を移すと

「…いいレースを期待してるよ」

また滑舌が悪くなってあたしにも聞き取れないくらい、酷くなった。



「そーちゃん、ちょって気分転換に行こうか?」

ママが微笑んでパパに近づくとそのまま車椅子を押してパドックを出ていった。