この想いを君に… −あの場所へ−

「智道」

パパが声を掛けると一瞬、辺りが静まり返った。

「調子はどうだい?」

智道くんは微笑んで

「まあまあ、です」

「そう…」

パパは目で智道くんを家に上がらせるように合図をした。

「どうぞ」

私はパパの車椅子を押しながら智道くんに言うと

「お邪魔します」

と言って私のすぐ後ろをついて来た。