この想いを君に… −あの場所へ−

「パパとママ、楽しそう〜」

むっちゃんが後ろを振り返って笑う。

「そうやろな〜
お店してたりレースしてたら忙しくてそれどころじゃなかったと思うで」

家族で出掛けるなんてこの家じゃ、稀だったと思う。

この先もあるかどうか…



この先…なんて。

あるのかさえ、わからない。



「むっちゃん、あのさ…」

そう言いかけて俺は言うのを止めた。

まだ、今は言うべきではない。

でも…いつかは言わなければ。



「どうしたの?」

むっちゃんが俺を覗き込む。

「いや、何でもない」

むっちゃんは首を傾げていたけど…

まずは門真さんに言ってから、だよな。