「…かなり握力も落ちて本当なら今日、走れないって思っていた」

門真さんは手を握りしめる。

「でも、睦海と走ろうって思う一心で。
今日ここにいるんだ」

光だけに言っておく、と付け加えられた。

「もし、俺が死んだら…」

門真さんの目は寂しそうだけど、どこか割り切っているように思えた。

「睦海の事は頼んだよ。
真由達は近くに祥太郎がいるから大丈夫。
どうか大阪で二人仲良く暮らして欲しい」



俺は頷くしかなかった。

何にも…言われへん。