父には友人はいなく、父を訪ねるのはみな金銭面の問題でやって来る人。

怖かった。
チャイムの響く音、玄関の扉を叩く音。
小さな頃から、怖くて、父が嫌だった。

訪ねて来た人に怒鳴り散らす父。分かりきった居留守を使う父。

電話で相手を怒鳴る父の声はもう慣れた。そのはずなのに、吐き気がたまに襲う。