俺は自動販売機でコーヒーを買う。

さすがに、何もなしで外に出るのは寒い。

缶コーヒー1本でも、あるとないでは全然違うだろう。


「ごめん、遅くなった。」


大して待たせてないけど、一応謝りながら南さんの後姿に話しかける。

振り返った彼女の目は潤んでいるように見えた。

俺はそっとコーヒーを差し出す。


「はい、これ。」

「優しいんですね、今日は。」


今日は、って何だよ?

俺はいつも優しいだろう?気、使ってんだから。


「で、話って何?」

「川崎さん、何か変わりました。」


この女、何を言い出すんだ。

寒いんだから、早く切り上げてほしい。


「そうかな?変わってないつもりだけど。」

「いえ、変わりましたよ。3年生が入ってきてから。」


……何が言いたいのかわからない。

俺にどうしてほしいんだ?


「沢村さんが来てから、川崎さん、冷たくなりました。」