gloom of the prince〜恋する研究室〜

毎年恒例の歓迎会を、毎年恒例の居酒屋で今年もするらしい。

ただ、今年が去年と違うのは、


「川崎さんは、ここです。」


去年は歓迎される側だった南さんが仕切っていること。


「何?今年は席が決まってんの?」

「そうです。3年生とみんなに仲良くなってもらおうと思って。」

「ふーん。」


別にいいけど。


「私がここで、橘くんはそこ。で、茂山さんは橘くんの隣です。」

「俺の前は?」

「波多江くんです。」


正面は波多江か……。

沢村若菜の観察、できねぇな。

って言うか、またお前の隣かよ。

南さんの考えてることがわかって、俺はうんざりした。

南さんが俺の隣で、尚且つ、沢村若菜を俺に近づけない。

うん、ベストな席順。


「川崎さんって、お酒強いですよね?」

「あぁ。」


俺に話しかけながら、ジリジリ近寄ってくる南さん。

俺は壁に体をピッタリとくっつけた。