きゅっと目をつぶると、ふわり。

わたしの体は、松田さんによって優しく包まれた。

松田さんのいい匂いがする・・・・。


「さよなら、ドールさん。・・・・僕はあなたのことをいつまでも忘れませんから」

「ありがとう・・・・ございます」


短い会話を交わし、きつく抱きあったまま、魔法が解けるのを待つ松田さんとわたし。

もう思い残すことはないよ。

わたしはわたしの意志で言葉を発し、動き、体の全部で松田さんを感じることができたんだから。


わたしも、ドールに戻っても絶対にクリスマスの奇跡は忘れない。

“もう一度人間になりたい”なんて思ったりもしない。

たった1回、この奇跡だけで、わたしは最高に幸せだから・・・・。


「わたしのことを見つけてくれてありがとう、松田さん」

「僕のほうこそ、ありがとう」

「「さよなら・・・・」」





━━『ほっほっほっ。メリークリスマスじゃ』━━





サンタさんがそう言って・・・・。

そしてまた───パチン。

指を鳴らした。