「お前、声でけぇから」


そう言って、口の前に人差し指を出した彼。


「佳祐に逢いたかったんだ」

「いきなり呼び捨てか」

「私の事、覚えててくれたね」

「色んな意味で忘れられねぇよ」


めんどくさそうな言葉とは反対に、佳祐は柔らかい顔で笑う。


その笑顔に、胸の奥が熱くなるんだ。


"この人の特別になりたい"


そんな事を考えながら、私は彼を見上げる。


「好き」


言わずにはいられなかった。


「なんだよ、また告白?」


そう言って、また笑う佳祐。


「その"好き"は気のせい。だって、お前俺の事なんも知らねぇじゃん」

「じゃあ、教えてよ」