「ちょっと!絵里奈?」


マリの声さえ、今は耳に入らない。


「かっこいいね、佳祐だって」


一目惚れした彼は、佳祐(けいすけ)と言った。

きっとこの瞬間から、もう自分の気持ちをどうする事も出来なかったんだ。


一瞬逢っただけの彼。

名前だけを聞いた彼。


それだけの事で佳祐は、私の心臓を鷲掴みにして離さなかった。


ねぇ、佳祐。

私だけだったのかな。

あの出逢いを、運命だと感じたのは。


あなたはいつだって、私に振り向いてはくれなかったよね。

それでも、やっぱり私は運命だったと信じたいんだ。


佳祐。

離れてしまった今、元気にしていますか?