だけど私には断る理由もなくて、結局差し出された携帯を耳に当てた。


『絵里?』


聞こえるのは愛しい声なのに、返事も上手く出来ない私。


『俺、行けなくなった』


何となく想像していた言葉。


『ごめん。また連絡するから』

「ん…わかったよ」


そう言うしかなかった。


夏休みの間当たり前のように会えてたから、こんな些細な事でも苦しくて。

だって私達には、また会える保証がないんだから。


電話を切ると、溜め息が零れた。


"ありがとう"と一言告げ、シュンくんに携帯を返す。

今にも泣きそうな私を見て、みんな黙り込む。


「ごめんね」


俯きながら笑うのが、やっとだった。