「遅いな、佳祐」


ミっくんが発したその言葉が、やけに耳に響いた。

私は、壁に寄り掛かるようにしゃがみ込む。


「電話してみるから待ってて」


そんな私に優しくそう言うと、シュンくんはポケットから携帯を取り出し佳祐へ電話をする。


「もしもし」


その言葉は、電話が繋がった事を意味する。


「はぁ?絵里奈ちゃんもう来てんだぞ!」


次に聞こえたシュンくんの声に、思わず肩があがった。

不安になりながら見上げると"ちょっと待って"と言って私に携帯を渡す。


「あー…佳祐」


シュンくんは、少し困った顔でそう言った。

シュンくんの顔を見れば、いい話じゃない事くらい私にも理解できる。