「絵里奈は彼女がいる事、いつから知ってたの?」

「カラオケで番号交換した日。アドレスにさ、名前入ってたんだよね」

「絵里奈…」


そう言って、マリは私を強く抱きしめた。


「佳祐には彼女だけなんだ。私なんか眼中にもないって感じ?」

「そんな…」

「それでも好きなのは私だし、離れられないのも私。今はただ、一緒に居られるだけでいいの」


そう、今は一緒に居られるだけでいい。


夏休みが終わったら、もしかしたらもう会えないかもしれない。

逢う度に、そう思うんだ。


私は佳祐の彼女じゃないし、特別な存在でもない。


だから余計怖いの。

今みたいに、会えなくなる事が。