佳祐に呼び出されたのは、それから数日経った頃だった。


「やっぱり、海の近くはまだ寒いな」


そう言って、パーカーのポケットに手を入れる佳祐。


「てか、寒すぎる」


海風になびく髪は、少しだけ潮の匂いが香る。


「卒業式まであと2日しかないなんて、何か実感わかなくね?」

「そうだね。何か、あっという間の3年間だったかも」


色んな想い出が、頭の中に流れ出す。


二人でここに来た日は、さよならをした時だったから。


こんな風にまたこの場所に来れるなんて、想像もしてなかったんだ。


「ここにいると、あの夜の事思い出すね」


私の言葉に、佳祐は"確かに"と小さく頷く。