頬を染めながら"くん"付けで彼を呼んでいたのが嘘かのように、何のためらいもなく"コータ"と呼ぶようになったマリ。

二人は私達よりもずっと近い距離にいるのかなって、マリの声を聞きながらふと思った。


『おーい、絵里奈?』


名前を呼ばれ、ハっとする。


「あ、いいよ。待ってる」


部屋番号を伝えた後電話を切り、彼に伝える。


「マリが、今からコータくん達と来るってさ」

「俺の意見は無視かよ」

「二人っきりのがよかった?」

「そりゃお前だろ」


そう言って、意地悪な顔で私を見る佳祐。

見透かされているようで思わず俯いた私を横目に、佳祐はお腹を抱えて笑っていた。