「絵里奈ちゃん、聞い…」





パシっ!





感情より先に、手が出てしまった。


「先輩っ!大丈夫ですか?」


唖然とするシュンくんに、駆け寄るミサキちゃん。


「どーいう事か聞いてんだけど」


見下すように冷たい視線を向ける私に、シュンくんは小さく"ごめん"と呟く。


色んな想い出が溢れるこの部屋に、私達以外の違う誰かの想い出が混じってしまった。


現実を目の当たりにしても、やっぱり涙は出てこなくて。

私の中にいるシュンくんへの信頼が、どれだけ強いかを知ったんだ。



ねぇ、シュンくん。


どうして−−−−−……?