アツシと別れ、私は真っすぐにシュンくんの家へと向かった。

家の前に着き、もう一度電話をかけてみたけれど、やっぱり出ない。

深呼吸をし、インターホンを押そうとした瞬間、ガチャリと玄関が開いた。


「あれ、絵里奈ちゃん。出かけてたの?」


玄関の中から出て来たのは、バイトに向かう途中のお兄さんだった。


「あ…こんにちわ」


そう言って、頭を下げる。


「スイートポテト、ありがとね」

「…え?」

「美味しかったよ」


お兄さんの言ってる事が、わからなかった。


「やべぇ、遅刻する。じゃあ、ゆっくりしてってね」


と、お兄さんは家を出て行った。

通された玄関には、私じゃない女の靴。